柿渋

 

平安時代より様々な用途に用いられて来た日本固有の染料、柿渋。

カキタンニンには防腐作用があるため、即身仏に塗布したり、水中で用いる魚網や釣り糸の防腐と、強度を増すために古くから用いられてきた歴史がある。また、木工品や木材建築の塗装の下地塗りにも用いる。縄灰と混ぜて外壁の塗装にも使用された。紙に塗って乾燥させると硬く頑丈になり防水機能も有するようになるため、かつてはうちわや傘、紙衣の材料として用いられ、現在でも染色の型紙などの紙工芸の素材としても重要な素材である。塗料としての用途は近年は利用が少なくなっているが、シックハウス症状を起こさない塗料として再評価されつつある。染色にも用いられ、出来上がりの茶色の色合いが柿渋染めとして好まれる。

製法

原料となるカキの果実は柿タンニンの多い品種を用いる。未熟なカキの果実は甘柿でも渋柿でも渋を多く含むが、原料として用いられる渋含有量の多い果実は、通常渋柿品種のものである。まだ青い未熟果を収穫し、突き臼や粉砕機で砕き、樽の中に貯蔵して2昼夜ほど発酵させる。これを圧搾して「生渋」を得る。生渋を静置して上澄みを採取したものを「一番渋」と呼ぶ。また、生渋を搾ったときの絞りかすにはまだ多くの渋成分が残っているため、これに水を加えてさらに発酵させ、圧搾して得られたものを「二番渋」と呼ぶ。これらの液体を数年間保存して熟成させた後、使用することが多い。

ラゲッジスペース

今回ラゲッジスペースのインテリア木部全体に、柿渋を採用。アンティークな雰囲気を醸しつつ、撥水・防腐効果を併せ持っている。染料のため、はがれる心配もなく、タフに使える。

ラゲッジスペース